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心理指導担当職員のぼやき Vol.3 ~『不安』を考える~ 札幌市東区 児童発達支援・放課後等デイサービス てとり・てとりキッズ
てとりグループでは月に1度ですが、施設内での研修を行っています。
子どもの療育的なことだけではなく、就労支援事業関係で働く人のミニ講演等もし、職員の質を多面的に向上させていくことをねらっています。
その中でも年間を通して何かに焦点をあて、それに対しての支援をみんなで考える!という研修もあり、私をはじめとする何人かでチームを組んでミニ事例研究のようなこともしています。
昨年度は『自己感』をテーマにして色々とやってきましたが、今年度のテーマは『不安』です。
「不安」と「恐怖」って何がどう違うのだろう?
そもそも「不安」って何?
そんなところから始まっているプロジェクトです。
”不安障害” と一概に言いましても様々な疾病があります。
その多くは思春期から青年期にかけて診断名がついたりしていますが、不安を感じやすい素因を持っている人間は一定数はいることが分かっており、小児のうちから不安を取り上げてアセスメントしていくことは非常に重要になってくると思います。
が、しかし!日本における小児の不安研究は十分ではありません。
なぜなら小児のうちは、不安が要因となって診断名をつける条件が揃いにくいのです。
このように臨床に上がってこなければ研究をする意図や目的が乏しくなるので、小児の不安研究は十分ではないのかもしれませんね。
今回の施設内研修を行うために僕は3つの論文を読んでその知見を深めさせていただきました。
その3つの中で特に印象的だった研究は、 『家庭内が良好な雰囲気であればあるほど、心の回復機能は高まるのではないか』という仮説をたてて、それをアンケートをもとに分析していった研究です。
その結果が、こちらです。
まず、『養育者との分離不安が高い子ども』と『家族の柔軟性が低さ』に負の関連がみられたそうです。
ここでいう『家族の柔軟性』とは、「私の家では、いったんこうと決めたことを変えるのは難しい」や「私の家ではお互いに気持ちをぶつけることができない」といったものです。
すなわち、養育者との分離不安が高くなれば、家族の柔軟性は低く、その時々に合わせて家族の在り方やルールを変えたり、意見をぶつけあったりできなくなります。
また、『家族への評価が否定的』であると、それが『一貫性のない養育態度』として媒介してしまい、『全般性不安が高い子ども』となってしまうようです。
子どもの不安には周りの大人がどう寄り添うのか、どのような家族コミュニティを作ればよいのかを考えさせられました。
研修で知見を深めていくうちに「自分はどうだったのだろうか?」と振り返ることが多くありました。
僕はこのように何か知見を深めていく時に「自分はどうだったのだろうか?」と考えて振り返る作業をするようにしています。
それを毎度毎度それをやるのはしんどい時もあるのですが、学生時代に精神科実習でお世話になった実習担当指導のF先生が「自分を道具として使って支援をするのが心理職の仕事。しんどくても向き合わないと、自分を道具として使って支援に当たれないよ」と教えてくれたのを思い出します。
僕自身も年間を通して、僕自身の『不安』と向き合っていかなければいけないかもしれませんね。
頑張ります。
心理指導担当職員
松本
※施設内見学等はご気軽にお問合せください。