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心理指導担当職員のぼやき VOL.4 ~『気持ちを切り替える』って?~ 札幌市東区 児童発達支援・放課後等デイサービス てとり・てとりキッズ
色々な現場で臨床活動をしていると、様々な支援者とコミュニケーションをとることが多くあります。
その中でよく聞くフレーズが「気持ちを切り替えることができない」「気持ちの切り替えが難しい」「すぐに気持ちを切り替えてほしい」というワードです。
何百回、何千回聞いてきましたが、聞くたびに「僕もできません。ごめんなさい。」と言ってしまいます。
大人でも、すぐに『気持ちを切り替える』なんて出来る人っているのかな?っと思ってしまうのです。
少なくとも、その日が終わって眠りにつくまではなんだかモヤモヤしてしまうのが大半の人なのではないでしょうか?
僕は寝て、起きても結構モヤモヤする性質をもっています。笑
だから僕は「気持ちを切り替えることができない」とか「気持ちを切り替えられるようになってほしい」という言葉が好きではありません。
自分ができていないことを子どもたちに求めることもできないですし、それを求めるのは単にこちらの都合である場合の方が多いからです。
スポーツ等の勝負事の場面はまた別だと思います。
いつまでも失敗したことにとらわれるよりも、『今』や『次』はもう始まっているのだから「気持ちを切り替えよう」という言葉は理解できます。
ただ、日常生活を送っている中で、親や友達と喧嘩をした、テストの成績が悪かった、学校の先生に叱られた…そんな出来事があって気持ちが沈んでいる子たちに「今は療育中(授業中・勉強中・練習中)なのだから気持ちを切り替えなさい」というのは僕の都合なんだと思うわけです。
今夜は大好きなカレーが待っている、学校で友達と明日遊ぶ約束をした、今日は宿題がない…そんなウキウキした気持ちをもって来所して浮かれモードになっているのに「今は療育中(授業中・勉強中・練習中)なのだから、集中しなさい」なんて言えないなぁ~と思うのです。
僕が最初に努めた施設の上司が「その子の気持ちを切り替えるのは難しい作業だけど、場面を切り替えてあげる演出はできるよね」と言っていました。
活動をはじめる前に、少し浮かれモードになっている子がいるなと感じた時は、「はい。楽しい気持ちはとりあえず一回置いといて、今からは集中しますよ」と目を閉じて、みんなで深呼吸をする。(呼吸法というものです)
負の感情に支配されている子に対しては、「そのモヤモヤした気持ち、この紙に書いて、一回置いておこうか」と自分の気持ちを外在化して「さ、とりあえず置いておいたから、楽しい場面に行ってみようか」と一緒に楽しいを共有しにいく。
そういう丁寧な関わりが療育と呼ばれるもので、「場面が切り替わっていることを演出してあげる」ことが、「気持ちを切り替える」ことになるのではないかと僕は思っています。
今日も色々な気持ちを抱いて、てとり・てとりキッズに通ってくると思います。
その時々の子どもの様子を見抜いて、柔軟に目的や価値観を変えさせていく支援者でありたいといつも思っています。
松本
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