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心理指導担当職員のぼやき VOL.26 ~ADHD・反抗挑発症・非行を考える~ 札幌市東区 児童発達支援・放課後等デイサービス てとり・てとりキッズ
てとり・てとりキッズでは毎月、職員研修を実施しています。
10月・11月は2回にわたって、『ADHD』『反抗挑発症』『非行』『素行症』をキーワードに研修をしました。
そして最大の論点は『非行』や『反抗』『反発』をしてしまう子たちに対して、”反抗挑発症”や、”素行症”といった診断名をつける意味は何だろう?
もっと言うならば診断名がつく意味は何だろうか?
そんなことを考えるために話題提供をしてみました。
ちなみに、”素行症”や ”反抗挑発症”と診断名がつく子の予後は2パターンあるそうです。
1つ目が『行動障害群』と呼ばれるパターンで、実年齢に見合わない反社会的な行動が「パーソナリティに障がいがある」と見立て、”反社会性パーソナリティ障がい”に結びついていくパターンです。
パーソナリティと聞くと『性格』を思い浮かべますが、ここでいうパーソナリティは認知(物事の見方や考え方)、感情のコントロール、対人関係と様々な精神機能のことを言い、決して『性格が悪い』ことではありません。
上の図にあるように反社会性の進行に伴い、診断名も変わっていくようです。
2つ目は『情緒的障がい群』です。
こちらの群は、不安障がいや気分障がいが根底にあります。
従って、『非社会性』の進行が大きくなっていきます。もっと平たく言えば、”ひきこもり”の進行です。
すると「『ひきこもり』状態で苦しんでいる人たちはパーソナリティ障がいなの?」や「自分もすごく周りの大人たちに反発してたし、悪い事もしていたし、診断名がついたかも?」
こんな疑問が飛び交い、さらに議論は深まっていきました。
結局、答えのない作業が続いていきましたが「診断名って何だろうね?」「メリットは何だろうか?」と考えや疑問は
深まっていきました。
診断名がつくorつかないの議論はどこにでもある話です。
診断名がつくことで支援者や関わる人は『共通言語』を持つことがいますが、その『共通言語』を間違えると、『ADHDのAくん』 『広汎性発達障がいのBちゃん』と、「ADHDだから〇〇である」「広汎性発達障がいだからBくんは△△なんだね」ということがおこってしまいます。
『共通言語』は便利ではありますが、便利なものを安易に使い続け、『知ったつもり』になるのも理解者としてはあまり相応しくないように私は思います。
もちろん医学的なこと(神経伝達物質のことや脳科学的なこと等々)は知識として『知っている』ことはとても大切です。
最後に、こころとそだちのクリニック 『むすびめ』の田中康雄先生は「診断名はその子の一部にすぎない。」と述べています。
そして、
同じ診断名がつく子どもであっても、一人ひとり、その思い、言動はみな違います。
まずはその子の思いに近づく努力をしたいと僕は日々思っています。
どんな子にも思いに近づく努力を続けていきたいなと2カ月の研修を終えて思いました。
ちなみに、研修をすすめるのにあたり以下の本を熟読しています。
前にも紹介していましたが、再度掲載します。
心理指導担当職員:松本